このレビューはネタバレを含みます▼
初めて読んだAIDS について描かれているコミックスでした。
裕福な医者の家に生まれた外科医の友井がニューヨークに行き、外科部長のリヒャルトと出会い、性的指向を自認していくお話でした。
当時、秋里先生は男性同士の恋愛を一歩深く踏み込んで描かれていたと思います。
舞台はAIDS が発見されて間もない1982年のニューヨーク、友井とリヒャルトの出会い、恋のはじまり、そして...すべてが美しく描かれています。
ドーナツの穴からリヒャルトが目を覗かせ友井に問いかけるシーン。初めてのキスが本当に本当にすごいのです。このキスシーン 忘れられない。混乱→理解→納得。息が止まるような感覚。それから友井とリヒャルトが交わした言葉。胸が苦しくなります。
今読んでも絵が美しくて、ストーリーがすごいです。
発売当時に読んで、また読もうと思い立って、でも怖くてなかなか読めなかったのですが、読んでよかったです。
何度読んでも素晴らしい。
冒頭で友井のお姉さんが男性同士の恋愛を「ヘンターイ」って言うのですが、そういう時代だったなあって、全然くっつけてくれなかったなあって思いました。
いい時代になりました。
リヒャルトの行動は帰巣本能なのかな。酷いのですけど、少しわかるような気がします。
降って湧いたような奇病のためにどれだけの人生が狂わされたことか。
この本は今でも色褪せないです。
本当に大切です。
1986年9月 総199ページ 修正=見えない構図(事後)