嘘つきは紳士のはじまり
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嘘つきは紳士のはじまり

松尾マアタ

紳士=クローゼットゲイ。間違った解釈…?

ネタバレ
2022年12月18日
このレビューはネタバレを含みます▼ ああ〜あぁぁ…
こんな良作にまた出逢えてしまえた喜び……!
あやまちは紳士の嗜みと合わせて、上下巻といったところ。

新作のミッドナイトベルボーイ短編集が出て、
あやまちは…のあの熱い夜の後日談が一つ、出会編が一つ、おまけ編?が二つ収録。正直、何かしらの決着的なものを期待してる方は落胆かも?何一つ進みませんし、いつもの2人の感じw
他の短編二つも、非常に良かったです。
この先生の絵柄、キャラの動かし方、意外と色気が漂う作画の雰囲気が大好き♡
どこでレビューを書くか迷ったが、
やはりポール&ジョナサンの始まりである本作で残します。

さて、本作は……簡潔に言えば、不倫。地雷の方は回れ右です。まあ、それだけではないから、この作品が心に響いて仕方がない私がいるわけですが。。

医学生のジョナサンと大学教授で彼の担当教官のポールが織りなす大人の恋の駆け引き。
とにかく、あっちこっちに読者を振り回す展開だったりしますw
読み込んでいくと、なかなかに2人の人間臭さにまるで友人になった気にさせられるし、ポールが素敵に見えてしまい不倫節操なし男を応援しだす自分が出てきて大変です。
素敵な奥さんと可愛い娘がいながら、真夜中のアイスクリームを食べることをやめられないポール。
不倫を擁護する気は毛頭ないのですが、クローゼットゲイの辛さ…というか現実(ノンフィクションは知る由もないのですが)を考えさせられるんです。
人生って何だろな…選択の連続であり、要は自己責任なんだけど、何かポールを責めて締め上げてやる!って気にはなれないんですよね。酸っぱさが痛いなぁ…と。
とは言え、家族に悲しい思いは絶対させたくないとか言って次の瞬間には、ジョナサン抱くんか一一一一い?!!ってww
いや、そんな展開も2人らしいんですが。

あやまちは紳士の嗜みに至っては、もう…
自分を貫いたポールの兄の同性結婚式にて涙するポールとか…ビシバシ刺さりました。不貞など働かず、誠実に生きているクローゼットの方が沢山いるのだろうから、この作品が地雷の方の気持ちは察して余りあるのですが…。
でも、凄い好きなんだよなぁ。攻めたタイトルとジョナサンをこじ開けたいポールの表紙も。鍵増えとるw
もう一人の兄や、夫婦としてのポールなどまだ知りたい事もある。決着を付けない終わり方が、作家さんからの皮肉なんかな…切ない…
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