このレビューはネタバレを含みます▼
先生が今現在も執筆されてる壁サーのお話、曲がりなりにも書く側の自分にも突き刺さるものがあって大好きなんですが、今作は「生きてく上で捨てられない家の縛りと自分の嗜好(自分自身らしさ)にどう折り合いをつけるか」というお話だと私は認識してるのですが、先生自身がマイノリティの当事者として…なのかはわからないですが「綺麗事だけじゃないけど希望を持たしてくれる」終わり方、非常に好きです。
大企業の後継者、しかも一人息子として誕生した受の役目は「後継者として立派に育ち家庭をもって次代に引き継ぐ」っていう、まぁ良くある話だけど「家族が好き」「何やかんやあっても家族を尊敬している」「その考えに一定の理解がある」という心理描写が直接あるいは間接的じゃなくとも感じられるので「自分自身だけでどうこう出来るほど家や恩は簡単には捨てられない」からこそ「女性と結婚して子を成す=ゴール」が重く感じられました。だって「ゲイであることを封じ込める」ことへの執念が半端ない。責任感があるというよりは、義理堅いからこそ悩んでんだろーな〜と思いました。まぁその考えを持ったままでも、自分の幸せを大切にしていいんだよって教えてくれるのが攻めなんですが…問題は同性婚だけじゃなくて、なんかもう男が自分と相手の遺伝子を持った子どもが成せば万事収まるんだよなと染々思いました…一番信頼してる自分の子どもに、自身の心血を注いだ歴史ある企業を託したいって気持ちは解らんでもないので。実際に結婚したって、じゃあ子どもは?って男女間にもある話ですし。男女、男男、女女…誰であっても絶対に「子ども」問題は尽きない話ですからね…
いやはや、一本道から二本道を見つけた受がどうなるかは二人が切り開いていくって希望に満ちた所で終わるんですが…なんも問題解決してないのが、また……問題解決してないけど、迷いがなくなったのは本当に絶大な心の支えで良いな〜これからどうなるかはわかんないけど、現実的な終わり方にとても好感度が持てました。
苦味を伴っても、2人の行く末が幸せになっていきますように。