このレビューはネタバレを含みます▼
完結してから(雑誌では完結、単話最終巻12月22日配信)書こうか迷ったんだけど。書きました(笑)
好き嫌い分かれるとは思いますが、私は好きです。ハラハラドキドキ痛々しく、甘々。攻めと受けのトラウマティックな事柄含み、話の構成、展開がすごくよくできています。
攻めの大門は元々はストレートであり、受けの小島と出会い変わっていった。小島限定かと思いきや、小島が姿を消して荒れていたとき、男女構わず致していました。
小島は幼少期を拗らせゲイのようだが。
周囲の無自覚な心の闇をぶつけられ続けた2人。人畜無害でお人好し、優しく「普通、平凡」を生きていた大門は、子どもの頃に認知症の祖母を事故死させたと思わされ(押し付けられて)、心に蓋をしていた。小島曰く、大門は深層に怪物を飼っていると。優しさの奥に隠された衝動や激しい怒りと独占欲、屈折した愛情がある。
小島は、英才教育を受けながら、跡取のためにと躾と称した心理的、身体的な虐 待を受け、且つ、信じた大人に目の前で焼身自 殺をされた。コールドリーディングに長け、人の心を読み取ることが上手く、他者の望む人物を演じることがどきた。子どもの頃の出来事の意味を知りたく死にたがりとなっていく。
この2つの事柄が話のキーになっている。SMの世界、闇の暴き、相手を思っての騙し騙され。2人が互いを必要とする存在であっても、大門のために離れる小島。このあたりはヒリヒリ痛い。
ただのSMの話じゃない。サスペンス要素もあり、何が本当か3巻まで解らない進み方。根幹は、小島の大門への憧憬と愛情。大門の小島への執着と愛情。
実に見事です。3巻後半から4巻(まだ出てないけど単話で解る)にかけては、前半と全く様子が異なる。小島も知らなかったタネが証され、2人は愛し愛される関係へとたどり着く。
深い。語彙力なくここに書くことが難しいが、「心に渦巻くもの」が見事に描かれている。エチシーンはSM含めて多いが、その時々でエチの意味づけがあり、必要シーンとなっている。大門の男前感が半端ない。絵も回を重ねて上手くなっています。
読む人を選ぶ作品かもしれないが、読了後に余韻では収まらない感覚が残る作品です。