月はみちかけケモノの恋【コミックス版】
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月はみちかけケモノの恋【コミックス版】

野白ぐり

読後の余韻から抜け出せません…

ネタバレ
2022年12月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作者さん買いで積ん読から。狛犬の化身・狛×都会から引っ越してきた伊月のお話で、表題作のみ全5話+描き下ろしで185ページ。都会での暮らしに疲れて田舎にやってきた伊月。そこで狛犬の化身であるという狛に助けられて…というお話です。田舎の大きいけど古い家、朽ちた神社、森の静寂…。そこに流れる雰囲気みたいなものがすごい良いです。都会の様子もちょっとだけ描かれているんですが、またこれが良い対比になっていて、忙しい毎日から離れてゆっくり過ごすことで満たされるものってやっぱりあるんだなぁと。3話の扉絵で描かれているピクニックの風景、こんなのしたら心身ともにすごい癒やされそう!お互いに寂しさを抱えて生きていましたが、やっぱり寄り添える誰かがいるのは違うんだなぁと考えさせられます。共依存と言うと極端に聞こえますが、共生に近いのかな。ただ、狛が伊月でないとだめというのはたまたまその時現れたのが伊月だからというのもあると思うんです。確かに伊月はお人好しで優しく魅力的ですが、もう少し絶対伊月じゃないとだめ!というエピソードがあれば尚良かったかなと。あと他の方も書かれてますが、野白先生の既刊と比べて線がはっきり太くなっていて見やすくなってます!既刊も良いんですがちょっと白っぽくて見にくいところがあったので、今作はより目に優しい仕様でした。そして、人外BLならではのラストの部分。全て余すことなく描かれているわけではないんですが、幸せなんですけど少し切ない、でもとても温かいエンディングでした。
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