悪玉
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悪玉

吉田ゆうこ

淡い哀しみに満ちた表題作と俳優同士の恋

ネタバレ
2022年12月24日
このレビューはネタバレを含みます▼ 森崎正彦はシャー芯を万引きしようとしたところをスマホで撮られてしまいます。撮ったリーマン羽良多陽平は、黙っているから暇潰しに付き合えと言います。大学への推薦の決まっている森崎は仕方無く一緒に映画に行き、寝てしまった羽良多のポケットのスマホに手を伸ばすのですが、手を抑えられて、君はやっぱり手癖が悪くて俺より悪い奴だと言われ、口でしろと命令されるのでした。羽良多は生きていること自体ひたすらつまらない暇潰しだと言います。自分を巻き込んでおいてつまらないなんておかしいと言う森崎に、羽良多はごめんねと謝り、君がいてくれて良かったと微笑み、羽良多は森崎をホテルに連れ込むのでした。森崎の万引き、羽良多の脅迫、家族の、過去の、様々な悪が濃淡を見せながら描かれ、雪降るクリスマスを迎えて終わります。『ノンフィクション』 BLドラマを撮影する一ノ瀬啓介は上手く演技が出来ず、相手役の田淵文世に本読みに付き合ってもらいます。演技の上手い文世と読み合わせるうちに、一ノ瀬は文世に恋をしてしまいます。ドラマのワンシーンなのか、リアルの二人なのか、リアルだけど本当は演技だったのか、フィクションとノンフィクションとの間を行き来するトリッキーな作品です。
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