冬知らずの恋
」のレビュー

冬知らずの恋

夏野寛子

思春期の

ネタバレ
2022年12月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 肝心なことは喋舌らない感じ、よく描かれているなぁ。傷つくことが怖くて明確にしたくない。千紘の「誰かにとられるなんて考えてもみなかった」というセリフ、幼馴染以上のものがあったのだろう。悠は5年の片思いだったけど、潜在的には違ったのだろうな。
悠のお母さん、「想定外」過ぎてどうしてよいかわからなかったのだろうな。
悠に「お母さんが女の人と付き合えないのと同じ」と言われて、自分の想定が固定観念であったことに気づいたんじゃないかなぁ。それでも、悠はお母さんを悩ませたくないと思っている。水やりや植え替え作業を自分の義務のようにしている姿が象徴的。個人的意見だけど、母子家庭の子は優しいし、無意識に気を遣っている。私の息子もそうだもんなぁ。だから、話し合いを避けてはいけないと感じている。息子とパートナーは男性でも女性でもXでもいいのでは?と言う話をしていて、男子校に通う息子は憧れはあったけれど、たぶん違うんだと思うというニュアンスを言ってた。でも、思春期の性的指向は曖昧だから、タブーを感じる必要はないみたいな話をしたのを思い出す。とある場で、学生さんたちに親と性について話すかを問うと、話す人は皆無だった。性に関する話題を必要以上にタブー視する日本の傾向が、寛容さを失わせ偏見の温床となり、もし、「通常」と異なったとき不要な罪悪感を抱かせるのではないかと感じる。罪悪感を抱けば、否定することになり、ますます生きづらさを感じてしまうのでは?だから、千紘が、ガツガツ積極的にアタックするタイプでよかったと思う。最初は否定したけど、結局、悠は救われたのではないだろうか。
いいねしたユーザ3人
レビューをシェアしよう!