このレビューはネタバレを含みます▼
やり手の青年実業家の烏羽×肺病を患っていた元画学生・桃里。終戦後、身寄りのない桃里は、援助を申し出てきた謎の実業家・烏羽の計らいで小さな家で暮らし始める。喋る床下や不思議なもの達が訪れる庭で穏やかに過ごしながらも、戦争が心に色濃く影を残した二人の距離が近付いていく。テンポもストーリーもほんとに独特。ほのぼのしたかと思ったらまだ生々しい戦争の傷が重くのしかかり、明るさと暗さのコントラストが戦後の日本とリンクしてるようで引き込まれました。お盆の友人達に泣いた。二人の焦れったい関係にそわそわして、桃里に惹かれているのに一線を引きたがる烏羽目線がまたよくて、読み応え抜群でした。不思議な庭は不思議なまま。いつか本当に二人で世界中の色を見つける旅に出て欲しいな。