グッモーニン グッナイ
」のレビュー

グッモーニン グッナイ

糸井のぞ

おはようとおやすみが聞ける幸せ

ネタバレ
2022年12月31日
このレビューはネタバレを含みます▼ 定食屋のコックであるアヤの住むアパートに人探しにやって来た青年が、アヤの目の前で車にはねられます。見知らぬ青年は目覚めると記憶を失っており、恋人が去って一人暮らしのアヤは青年を引き取ります。記憶障害のせいか幼い言動の青年を、身につけていたペンダントからリネアと呼び、二人は一緒に暮らし始めます。アヤの恋人サイラスは、ある日黙っていなくなり、アヤは未だに苦しい想いに囚われているのでした。寒い北の国から来たサイラスが話していた短い夏に咲く花ーリネアのペンダントは、青年リネアの亡くなった双子の姉のものでした。お互いに大切な片割れを失くした二人の心の距離が近づいてゆきますが、それとともにリネアも少しずつ記憶を取り戻しているようなのでした。北の国から来たどちらも謎めいたサイラスとリネア、彼ら二人に関わってしまったアヤ、小さな花が2つ咲いて1つになるリネアの花が象徴的に描かれます。癖のある絵柄ですが、石畳の町に薄い水色の空が見えるような水彩タッチが独特の切なさを際立たせています。
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