このレビューはネタバレを含みます▼
ずっと前から読みたいと思っていた作品。1/8まで1巻無料です。
1巻では止まらないだろうなと思っていたら、やっぱり全然止まらなかった。3巻一気読み。この作品…すごかった。
長く漫画を読んでいると、ごく稀に…魂と魂が触れ合うような、魂を重ね合わせるような性愛が描かれている作品に出会うことがある。
「囀る鳥は羽ばたかない」、「蟷螂の檻」――この作品もそうでした。
【以下、ネタバレが入っているかもしれません】
俟爵家の御曹司・斎木蒼磨は書生の田神正崇と出会い、激しい恋情を抱く。
蒼磨は正崇を求めるが、潔癖な彼は蒼磨の求めを汚れた肉欲だと拒否する。
正崇の態度に、蒼磨は愛されることがかなわぬなら、いっそ憎まれることを選ぶ。
蒼磨は正崇を支配し蹂躙し、その行為の後にただ惨めな虚しさだけが残っても…正崇を求めることを止められない。彼が好きだから。
でもそれにより正崇は更に激しく蒼磨を憎み、お互いがズタズタになるまで傷つけ合ってゆく――。
ここらへんは読んでいてかなり辛かった。
だけどその全く希望がなさそうな関係も、お互いをむき出しに晒し合うことによって、二人の間に変化が起こる。
求めれば求めるほどすれ違い、拒絶され、絶望の淵の先にあったのは…無私の愛でした。
最後お互いを求めあい、魂が溶け合うように体を重ねる二人の姿が、ただただ美しかった。
人間の愛憎を、生きる苦しみと悲しみと救済を、深く鋭く切り取った作品。
ダークでハードでヘビーです。万人向けの作品ではないかもしれません。
でも人間の或る愛の形として…いろんな人に広く読んでほしいなと思いました。
生きる意味が見いだせず、いつも死を望んでいた蒼磨が、最後に呟いた言葉が印象的だった。
本当に美しい作品。素晴らしかったです。