曖昧な境界線を見事に表現





2023年1月16日
同じ会社の3人の男たちが男に対して抱くそれぞれの思いの中で葛藤するお話。
上司の国富に片思いする岡田、その岡田を好きな加賀谷、そして加賀谷と仲良くなる岡田に対し独占欲を抱き始める国富。加賀谷が岡田にちょっかいをかけることでそれぞれの心の歯車がゆっくりと、でも確実に動き出す様子がとてもリアルにかつ繊細に描かれていました。元々ノンケであれば男に対して好きと思ったり性的な目で見たりするのは戸惑いもある。だからこそ動かない岡田に対し直接的に体の刺激を与えるというのは加賀谷の戦略的勝利だし、行為を重ねることで体から意識を変えられ、そのことで加賀谷に情がうつる岡田の気持ちの揺れ動きも人として当然の結果。そして、男が好きかどうかは分からないけど今まで自分の面倒を一番に見てくれた部下が離れていくことに淋しさを感じ、焦って急に関係を持とうとする国富。三者三様人間くさくて、それぞれの焦りや不安や孤独をとてもリアルに描ききっていると思いました。人の想いが明確に線引できない、境界線は曖昧でタイミングによって見方が変わってしまうことをこんなにも上手く表現しているのは本当にすごいと思います。3人の関係性もふわっとしたまま本編は終わりますが、男が男を好きになることとか、個々人の間にある感情の名称とか、読み終わった後も色々と考えさせられる良い作品だと思いました。
あとがきで岡田と加賀谷はくっついたと分かりますが、二人のお付き合いをまるで仕事の契約のように表した会話はとても知的でユーモアに富んでいて素敵でした。最後の最後まで楽しませてくれる作品です。
上司の国富に片思いする岡田、その岡田を好きな加賀谷、そして加賀谷と仲良くなる岡田に対し独占欲を抱き始める国富。加賀谷が岡田にちょっかいをかけることでそれぞれの心の歯車がゆっくりと、でも確実に動き出す様子がとてもリアルにかつ繊細に描かれていました。元々ノンケであれば男に対して好きと思ったり性的な目で見たりするのは戸惑いもある。だからこそ動かない岡田に対し直接的に体の刺激を与えるというのは加賀谷の戦略的勝利だし、行為を重ねることで体から意識を変えられ、そのことで加賀谷に情がうつる岡田の気持ちの揺れ動きも人として当然の結果。そして、男が好きかどうかは分からないけど今まで自分の面倒を一番に見てくれた部下が離れていくことに淋しさを感じ、焦って急に関係を持とうとする国富。三者三様人間くさくて、それぞれの焦りや不安や孤独をとてもリアルに描ききっていると思いました。人の想いが明確に線引できない、境界線は曖昧でタイミングによって見方が変わってしまうことをこんなにも上手く表現しているのは本当にすごいと思います。3人の関係性もふわっとしたまま本編は終わりますが、男が男を好きになることとか、個々人の間にある感情の名称とか、読み終わった後も色々と考えさせられる良い作品だと思いました。
あとがきで岡田と加賀谷はくっついたと分かりますが、二人のお付き合いをまるで仕事の契約のように表した会話はとても知的でユーモアに富んでいて素敵でした。最後の最後まで楽しませてくれる作品です。

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