恋じゃねえから
」のレビュー

恋じゃねえから

渡辺ペコ

いま必要なテーマが正面から描かれてる

ネタバレ
2023年2月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 未成年とおとなの人権に関する問題を、リアルに描いてくださっていて本当に素晴らしい。意欲的かつ稀有な作品。
未成年への性的な加害って、フィクションでは、いつでも一見して「身勝手で、暴力的な、キモいおじさん」が加害者になりがちですが、このお話ではそうじゃないというところでまずハッとします。ほんと当たり前だけど、キモいハァハァおじさん相手でなくても、「おとなと子供」の性的関係=即・加害なんですよ。同意年齢13歳って、改めて、やはり狂気だと思います、我が国…。
許されない・美しい若い二人の恋愛、なんて一昔前なら美化されかねないエピソードが、被害者をこんなにも傷付け、被害者の人生に強く影響を及ぼしてしまったこと。おとなと子供の違いを、改めて突きつけられます。「恋じゃねえから」ですよね、まさに!
肖像権についても、いくら「美しく」「芸術的に」描かれて社会的に評価されたとしても、明らかに自分がソースになってるイメージを脅かされること、プライベートで相手を信じて明かしたことを許可もなく勝手に開示されること、それがどれほど、ひとの心を踏みにじる行為か、ということも、グレーな部分、モヤモヤ感もひっくるめて丁寧にリアルに描かれており、緊迫感があります。当然の怒りを、加害者からも社会からも、当然のこととして受け止めてもらえないもどかしさ…。
作者様と作中の女性たちの闘いをずっと応援しています。少しでも多くの方に読んでもらいたくて、あまり書かないレビューを書きました。
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