胚培養士(はいばいようし)ミズイロ~不妊治療のスペシャリスト~
不妊治療を巡る人間ドラマに感情が…





胚培養士とは、卵子と精子を受精させる専門職。そちらの目線から描かれる不妊治療の現場の描写が新鮮。主人公の水沢歩は、ズバ抜けたセンスの持ち主の胚培養士。顕微鏡越しで作業しながら、受精卵に話しかける姿に、この段階から人格を持つかのように接している…と感動しつつ、時折シビアな数字や受精卵の質を選別していく描写が挟まり、緻密な取材や構成の下、作り上げられた作品だと印象付けられる。
妊娠と判定された時の壁の向こうとこちら側で起こる達成感と安堵感に、知らなかった現場の熱気が伝わってくるところはお仕事もののよう。
だが、確かに主役は、それぞれのエピソードに登場する不妊治療を受ける人々の人間ドラマ。第一話の祖母と孫の絆と祖母からの「ごめんね」に涙腺が刺激される。もう、自分が悪くないのに出てくるごめんに弱くてねえ。目がショボショボして大変…。
次の男性不妊のエピソードには、不妊治療を受けていると歳下の男性と女性から、打ち明けられた記憶が呼び起こされた。とてもセンシティブな話で、上手く受け止められた自信がない。本作で男性側の受診する気持ちや、採取室の様子を見て心中を想像させられるところがあり、不妊治療未経験層こそ、本作を読んで、いざ打ち明けられた時にその胸中を想像できるようになっておくと良いのでは、と考えさせられた。
最後のキャリアを重ねた女優の、仕事と不妊治療に揺れる心中と高齢出産と言われる年齢になっても不妊治療を続けた理由にも胸を打たれた。
不妊治療の思うようにならない現実も誠実に描きながら、読後感はすこぶる良いのも、さすが、の作風なのです。
受精の神秘と、治療に込められた様々な思いという読み応えのあるテーマ。まだ1巻目だけれど、主人公の歩の個性的な雰囲気に美しいカラー画、おかざき先生らしい、雰囲気のあるイケおじも加わり、目も楽しませてくれる満足度の高さに思わずレビュー。続きが楽しみな作品が増えました!

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ゆってぃ さん
(女性/40代) 総レビュー数:22件
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wagay さん
(女性/60代~) 総レビュー数:0件
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なあこ さん
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(女性/40代) 総レビュー数:0件
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梅干し さん
(-/-) 総レビュー数:990件
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(女性/40代) 総レビュー数:584件
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(女性/40代) 総レビュー数:0件
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yan* さん
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かい さん
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ララ さん
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