あてない処に君あらば
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あてない処に君あらば

ほど

困る…!参る…!何でこんな沁みるの。

ネタバレ
2023年2月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 作家さん買い、積本より。3/13まで割引中。
テーマやレビューを一切前情報なく読んだのですが、正解でした。というのも、大切な人を失って…というのが、個人的に非常に苦手で。。
きちんと言うなれば、気持ちが分かってしんどくなったり消化できない想いが辛かったり…。
しかし本作は、どうしょうもない喪失感や後悔などの感情はありつつ、何だか晴れやかな気持ちにもさせてくれる良作でした。
いいタイトル。まあ、泣きに泣いた…!

そして、キャラ立ち凄い!って言う作品でないのに、だからこそ?高嶋と佐伯が実際、私の側にいる人のように感じられるリアリティがありました。
佐伯が高嶋に惹かれる様子がとてもナチュラルですし、高嶋の何だか見えない感情の描き方も非常に上手い。
ストーリーが進むにつれ、高嶋の苦しみや切なさがグングン迫ってくるし、自分ごとのような気がしてきてたまりませんでした。
番外編なんて、初めて致したときの高嶋の気持ちが答え合わせのように読めて、うわぁ…やめてよ…ツラい。幸せが怖いって、罪悪感を感じるってそんなん何か違うけど、でも分かる……泣けるじゃないの。
とは言え、やはり一読者として!高嶋!あまりに放置が過ぎるぞと自分には理解し難い行動に若干のイラっと。分かってただろうけど長年の生殺し…あり得ん。その愚行でこんなに苦しいわけですが…

ずっと佐伯が、高嶋の抱えてきた感情にノックする会話や行動をするんですよね。
いや、高嶋がずっと意識して離さないでいるからこそ、佐伯のそれらを拾ってしまうと言った方が正解なのかな。
うううー!終始、凄い感情が揺すぶられる…
高嶋の過去や気持ちを代弁する描写が、必要な時にしっかりあるので2人のストーリーがぶつ切りにならず、且つ段々肉付けされていくキャラの人となり…
高嶋がとにかく終始泣かせにくるので大変でした。
コマ割りやセリフ回しが本当に上手で、自然で、素晴らしかったです。

やっぱり、人生において、
しなかったこと、言えなかったこと…
これはアカンですな。それは柔らかい痛みになり、忘れられない思い出になり、抱えていくその人の人生になるんですよね。
佐伯が真っ直ぐ高嶋を見るので、高嶋もやっとこ前に進めた。
祥吾くんを思うとまた辛いのですが、佐伯と幸せに笑ってる高嶋を見られて彼も嬉しいんじゃないかなと私には感じられました。

いい作品!読めて良かった♡
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