呪われた黒獅子王の小さな花嫁
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呪われた黒獅子王の小さな花嫁

月東湊/円陣闇丸

BLを超えた壮大なおとぎ話

ネタバレ
2023年3月10日
このレビューはネタバレを含みます▼ 美女と野獣よりも辛く温かく幸せな物語。父王の愚行により呪いを一身に背負い黒獅子頭として生まれた王太子ダルガート。負けなしで優しい王が大好きな小人族の小さな戦士でもある后リラ。美女と野獣よりも重厚で壮大な愛の物語に出会えて本当に至福としかいえません。

作者様も後書きされてた通り萌えポイントに溢れかえっている本著。あれほど虐げられて育ってきたダルガートが素直で優しくて無垢なままなのはまさしく奇跡。どこまでもどこまでも厄災の黒獅子頭の王を愛し尊敬し戦う小さなリラの明るさ。その全てに感謝しかない気持ちです。イラストも私もパネルにして飾りたいほど幸せにしてくれる素敵さ。リラの婚礼衣装があまりに可愛く美しい!リラが太陽の下で花に囲まれて踊るシーンがカラーで見たいです。ふたりのイラストパネルを飾っとくと幸せになるおまじないでお守りになる気がします。

呪術師の弟子との会話は衝撃の連続でしたが、父王はなぜ真実を知っていたのに謝らなかったか。自分のたった一つの愚かな振る舞いが大事な息子を呪われた黒獅子頭にし、それを苦にした最愛の后を自ら儚くさせた事実が、賢王と言われるほどの人格者である王のたった1つの過ちであったことをどうしても認めることはできなかったのではないか。自分の汚点を背負って国中から忌み嫌われているダルガートがただ黙ってそれをも受け入れて純粋に育っていることが、父王を狂わせ憎しみを増幅させる。常に自分を攻め糾弾し続ける悪魔のように思っていたのでは。と、色々推察してしまいました。

聖王として王妃とともに昔語りとなる2人が隣国郭国で歓迎されている様子や『願い事が叶う実』が無事育ち、数日普通の人として視察に行ったり、愛を生身で確かめ合ったりするお話が読みたいです!
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