2055
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2055

三月えみ

自己犠牲、そのあと考え続けさせられる作品

2023年3月10日
LiQulle(リキューレ)pathosのvol.2で掲載された三月先生のエモいSF短編です。リキューレに寄稿された錚々たる作家さま方の中でありながら、最も心を動かされた作品です。
三月先生と言えば、仕立て屋BLの「結んで、ほどいて、キスをして」にて『自己犠牲』を感動的により効果的に表現され、涙を誘われました。
その後「泡にもなれない恋ならば」(こちらも短編です)にて、『自己犠牲』をテーマに複雑な人の感情を表現され、これは一筋縄ではいかない作家様だぞ!?と良い意味で認識を新たにしました。
ソコを踏まえて、この「2055」に出会ったインパクトは大きかったです。
作品のストーリーもさることながら、近未来に起こりうる“突きつけられるかもしれない人類の選択肢”に唸らされました。自己を帰結させるのに何を以って納得し肯定するのか?それに払う犠牲は何なら見合うのか?
初読みから10ヶ月経っても事あるごとにずーっと考え続けてしまいます。
あと単純に、死後も魂の存在があればいいなぁと思っている勢なのでより強く刺さったのかもしれません。

なお、リキューレの方ではシーモア限定特典で先生が作品の設定解説をされています。
(※3月10日三月先生のお誕生日記念レビューです♪)
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