ヴィンランド・サガ
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ヴィンランド・サガ

幸村誠

身勝手の極意

ネタバレ
2023年3月11日
このレビューはネタバレを含みます▼ 個人的には、主人公と父親を身勝手に感じました。
散々、人を殺しておきながら、博愛に目覚めて軍を脱走する父親。中世なら全世界共通で死罪だし、それが最強の兵士で英雄ともなれば、逃げた先の集落まで巻き込む可能性大です。
海賊団に襲われた時も不殺を貫き、相手を誰一人斬らずに死んでいきます。一見、己の信念に殉じた高潔な最後ですが、家族の行末は一顧だにしません。
復讐の為、相手の海賊団へ入り、首領との決闘を交換条件に人を殺しまくる主人公。首領が戦争中に殺された事で目的を失い、魂の抜け殻となって奴隷にされます。
家族を殺された奴隷仲間に戦士だったと告白し、首を絞められて殺されかけますが、自分が殺した中にお前の家族がいたかも知れないので、俺が殺したのも同じだと謝罪する主人公(苦笑)
繰り返し見る悪夢の中で、父親や首領と会話し、博愛の本当の意味を知る主人公。自分が殺した人間の恨みや憎しみを全て背負い、非暴力を貫く、償いの人生を生きる事を決意します。
略奪された上に殺された当事者に聞かせたら、恨みを背負うのは当たり前、暴力を捨てるのも手前勝手、何の償いにもなっていないと言うのではないでしょうか。
主人公の成長が、自己満足の悟りとしか思えませんでした。
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