気難しい王子に捧げる寓話
」のレビュー

気難しい王子に捧げる寓話

小中大豆/笠井あゆみ

島でオススメしてくれた方ありがとう

ネタバレ
2023年3月12日
このレビューはネタバレを含みます▼ 表題作のみ422P。島でオススメして頂いて購入した本作、海外のファンタジー児童文学を連想させるような内容でページをめくる手が止まりません。
この先生一般小説を別名義で書いたりしてないのかな?BL以外の作品もあるなら読みたいと激しく思いました。

堕落した国家と堕落した王太子、野心家の子爵に風変わりな学者。全ての登場人物に何故か愛着を持ってしまう不思議な作品。
読み始めはここ数年見た中で1番最悪な受けだと思いましたが出だしが最底辺だったからこそ、もうあとは上がるしか無くて改心してからの快進撃に爽快感がありました。
恐らくイソップ寓話の教訓をベースに作られたお話だと思います。人の愚かさ醜さそして優しさが自分にどれだけ影響してどのような結末に導くのか。
環境が変われば人は変わるし人が変われば人生が変わります。
不思議な老人に見せられた鏡の中の未来を覆したくて心を入れ替えて一国の当主に相応しい器を形成していくエセルと、エセルを憎みながらも己の野心のためにそばを離れないオズワルド。

愛と憎しみは紙一重でエセルに愛ゆえの憎悪を抱きながらも、自分がエセルの1番であることを強く望むオズワルドの執着(クソデカ感情)が良かった。憎まれていることを知ってるから自分に何の期待も持たなくなったエセルに逆に執着していくオズワルド。最初と立場が逆転していってて攻めザマァ展開です。美味。

痣の回収が見事でラストは思い描いた理想の未来で胸が詰まってホロリとしてしまいました。ずっとこのルスキニア王国にいたい!と読み終わりたくないくらい面白かったです。
未読の方に激しくオススメの1冊でした~良かった!
ただ1つ気になったのは笠井先生大好きですが今作にはあまり合っていなかったように私は思いました…特にマルジンは作中の描写と大分違うのでは…
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