このレビューはネタバレを含みます▼
ゲイで高校生でなんか冷めてるけど本当は寂しい"あかり"と、ノンケで大人で何だかんだいって面倒見のいい"瑞貴さん"の話。
あかりは16歳とは思えないほど大人びて、たまにハッとするようなことを言ったりする。賢さと境遇ゆえの悲しい早熟。そんなあかりが瑞貴さんの包容力によって年相応の不安定な本音を炙り出され、炙り出した瑞貴さんはちゃんとそれを受け止めて応えるという最高の救済漫画。
◇1巻では瑞貴さんが卑屈の沼にいるあかりを徐々に掬い上げるようなストーリーだったけど、2巻では 負い目を感じていた瑞貴さんと環境の変わったあかりとのすれ違いも描かれる。
瑞貴さんの負い目というのが「未成年だから」みたいな上っ面の話ではなくて「少し待てば他の人を選ぶこともできていたはずのあかりから自分以外の選択肢を奪ったままでいいのか」という愛ゆえの悩み。
成長していくあかりに目隠しをして妨げているような罪悪感と、自分だけを頼って離れていかないでほしいというエゴの間で葛藤する瑞貴さんが誠実そのもの。大人と子供の立場から始まった関係がちゃんと対等なものに変わっていってるんだなって感動した。
◇この作品のいいところはあかりがとにかく積極的で瑞貴さんに惚れていて、瑞貴さんの大人の事情なんかひっくり返してぐいぐい迫っていくという関係性。
社会人が高校生と恋仲って状況を現実に当てはめたらマズいはずなのに、瑞貴さんからは物知らぬ子供を丸め込んでいいようにしてやろうみたいなズルさを一切感じないし、あかりも勢いで突っ走ってるわけではなくちゃんと冷静な考えを持った上でアクションを起こしているので不健全さを感じずに読める。
特に「いつかものの見方の変わったお前が俺を軽蔑して離れていかないように」っていう瑞貴さんの台詞、大好き。瑞貴さんの賢明さとあかりへの執着が存分に表れててグッとくるけど、現実でも肝に銘じておくべき言葉だと思う。
◇最新刊が出てからまだ2年も経ってないのに待ち焦がれすぎて5年以上経過しているような気さえする。作家さんのTwitterも見てるけど続き描いてる気配なくて切ない。
社会人になったあかりと瑞貴さんのやりとりも見たいし、双方の家族との絡みも見たいのでいつか続編が出ることを心待ちにしています。