このレビューはネタバレを含みます▼
BL小説、「夏の塩」→「夏の子供」→「夏のリング」(番外編、「夏の子供」のラストその後のお話なので、必読)
挿絵なし、エチシーンほとんどないので外でも読めるのですが、息をするのが苦しくなりそうな辛いシーンもあり、ティッシュ持参で。。
喪失の悲しみから逃れるため感覚が欠けてる大学院生魚住くんと鈍感すぎるから包容力ある友人のリーマン久留米、それに加えて友人との青春群像劇でもあります。あらすじネタバレなしで読んでもらいないな。小説は漫画より登場人物に感情移入して読むことが多いんだけど、特にこの作品では先のわからない彼らの人生を体験して、みんなと一緒に悩んだり苦しんだり悲しんだり涙流したり生きている幸せに喜んだりできるから。
なんと、2000年の作者さんデビュー作なんですね。驚愕。最初から完成されてたんですね。「夏の塩」のタイトルの短編が雑誌投稿作だったそうです。この電子版は2011年発行。電子版では2冊だったのが、2014年には角川文庫から一般小説の榎田ユウリ名義の新装版で魚住くんシリーズとして紙版が5冊となって出てます。角川文庫は電子版にはなってません。作者さんブログによる角川文庫版は文章にかなり手を入れてるけど書き下ろしはないとか。
「永遠の昨日」もそうでしたが真っ向から素直に書いてる初期作品が私は一番好きかも。。いかにもBLな設定や展開になってしまうのではなくて、作者さんの中から自然に生まれたキャラやストーリーが辛い思いをして悩み、苦しみ、また生きていく、今まで読んだ榎田先生の作品の中でベストでした。