おしえて僕の神様【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】
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おしえて僕の神様【単行本版(シーモア限定描き下ろし付)】

瀧本羊子

素人が他者を救おうとすることの罪と罰

ネタバレ
2023年3月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ BLと思いきや、カルトっぽいドラマ要素が強く印象に残った。とはいえそこから抜け出せる契機が俗物的かつ即物的な「恋愛」という要素だったので、やはりいい意味で異色のBLなのかなとも思う。作者さんが何故このテーマで描きたくなったのかが気になった。人を助けたいという純粋な気持ちは、自分こそが助けなければという気持ちと結びつくと途端に肥大化したエゴになる。そのまま無責任に片足を突っ込んでしまうことの罪に対する罰を、最後までむき出しに描いているのがリアルだなぁと感心した。それに対して「君は悪くない」ではなく「共に背負う」と言ってくれたことも良かった。不特定の多くの他者をかりそめに救うより、そんなことを言ってくれる目の前の一人との幸せを選択をした「神様」が嬉しかった。
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