新宿ラッキーホール
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新宿ラッキーホール

雲田はるこ

長年連れ添った夫夫のような

ネタバレ
2023年3月21日
このレビューはネタバレを含みます▼ 昭和元禄落語心中の根底にあるような、愛し方をまた見たような気がした。昭和感漂う中に、コスプレ、イベント、写真集販売などが出てくるので、「あ、平成か」と引き戻される(笑)元ヤクザのサクマ、元ゲイビスターへと仕込まれた苦味。サクマと苦味の関係と愛は、斉木や竜のように傍目からはわからないだろう。運命共同体であり、二律背反であり、ソウルメイトであり、互いに生かし生かされ、守り守られ、離れることはできないつながり。形としては長年夫夫だ。甘さもないが離れることもない。しばらくぶりにエッチしようものなら、苦味が可愛くなる。サクマが18の苦味を救ったときから一生は決まった。リバなのも納得。元々、受けだったサクマがゲイビキャストに仕込むためタチもしなくてはならず、苦味も男優の幅を広げるためにどちらもするようになった。
1巻から6年を経て2巻が発売。作品の世界も同じように時が流れたが、ヤクザ問題は完全に決別できていない。
2巻の後半はだいぶ駆け足に感じたことは否めず、他組のこと、竜の考えや親戚の警察、苦味が依頼されていたこと、張の寝返りなど、随分と説明調で走ってしまったのは少し残念。でも、サクマの左耳ピアスの効果は活かされ、苦味を一生守ることは仄めかされていて、互いが離れることはないことはわかった。新宿で生きていく。2人そのものだ。50%Offで良作を読めたこと、有り難い。
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