恋の致死量
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恋の致死量

四隅

うなづき回数が多かった作品

2023年3月22日
タイトルに強く惹きつけられて買った作品です。この秀逸なタイトルに妄想を膨らませ過ぎて、作品の良さに気づきにくい部分があった!と、今回再読して思いました。
数多のBLを読んでいる猛者の方々にとっては割と見かける設定だと思います。しかしこのシンプルなお話の中に、人間の性(サガ)や、人社会の闇や、親の影響力(呪縛)等々を端的に読み取ることが出来ました。
加うるに、自己肯定感の低い社会不適合者(自虐の意味を込めて汗汗)の気持ちの揺れが手に取るように伝わってきて、身に詰まる思いをしました。
余談ではありますが、某アニメ映画大好きボ◯ボさんに有る名言の「社会と切り離された精神世界の広さと深さ」というセリフが大好きです。それが今作品の受けが幼い頃から達観しているのと通じるところがあるなぁと読みながら思っていました。
この受けのキャラクターが、深いところと浅慮でピュアなところと諦念に苛まれているところと、他色々な要素が混ざり合いまたは対立し合って魅力的な人物になっていると思いました。
愛する人の為に自らは身を引く、という胡散臭い表現がどうも苦手なのですが、今作品は葛藤と一縷の望みを作品の最初から描かれているのが、すごくすごく好きです。
モブ子ちゃんですら、胡散臭さの皮を被りながらも結局はは自分の為じゃん!って読めるのが良い。とてもイイんです。

えちシーンは少ないものの、受けがそうなってしまった設定や、そんな受けだからこそ攻めが知らずに惹かれてしまった色気なのかなとか、どちらかと言えば設定萌えでした。
受けの経験値の高さが(それも高くなりたくてなったわけではないのに)、2人の初えちの時にさり気なく垣間見えるのにも滾りました。よくある、ビ◯チなのに本命との初えちはまるで初経験のように描かれると途端に冷めてしまうタチだからかもですが。
再読したことによって、すごく良質な作品だと気づけて本当にラッキーでした。
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