初恋にさようなら
」のレビュー

初恋にさようなら

戸田環紀/小椋ムク

ありがち設定ながら読み応えあり!

ネタバレ
2023年3月23日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長年片想いをしている親友との叶わなかった恋の結末や親友としてずっとそばにいるための苦悩が丁寧に描かれており冒頭からしんみりとしてしまいました。親友の弟の中に彼の面影を探しながらも少しづつ弟へと傾いていく様子にとても共感できました。初読みの作家さんですが、繊細な心理描写や美しい情景描写など言葉選びがとてもきれいな作家さんだと思います。野球ボール、腕時計の電池、チョコレートなど作中に登場する小物たちがとてもいいスパイスとしてお話を引き立てており、特にテーピングの描写が素晴らしかった。恵那の中学生時代のエピソードには憤りを感じますが、彼のお母さんの気持ちも少しわかるように思います。弟くんのお母さんが立派過ぎていやでも比べてしまいますが、多種多様な価値観が求められる今の時代、親としてもっと柔軟に捉えていかなければいけないのかなと、私ならどう言えるだろうと思いながら読み終えました。
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