ちーちゃんはちょっと足りない
」のレビュー

ちーちゃんはちょっと足りない

阿部共実

ここれは心に来る漫画だ

ネタバレ
2023年4月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ ちーちゃんはちょっと足りない、この題名に込められた想いの先が足る事を知る事であろう。
ちーちゃんの世界は単純明快だ自分のできる事やりたい事がはっきりしていて行動力もある、間違いも起こすがそれを学習して素直に謝ることもできる。
人から見ると可哀想な足りない子に見えるかもだがちーちゃん自身は常に楽しい事を楽しみ悲しい事を泣き、自己を帰りみて反省し学習し事足りているのだ。無邪気な笑顔が幸せを感じられる。
その反面ナッちゃんは足りない物を満たす事が出来ないジレンマもちだ。
内向的になり自分を否定し、他者も否定し,世界も否定する。
ちーちゃんより頭が良くて面倒見も良く人に迷惑もかけない普通の子なのにだ。
地元の景色を高台から見て幸せを感じる事も出来る子なのに身分や見てくれ、金銭を重視して足る事を知らない子になって行く、身を打ち崩して行く結果しか無いスパイラルだ。
二人の対比がこの漫画のツボである。
最後のシーンで満ち足りている何か足りないちーちゃんと
何もかもが足りないと感じるナッちゃんが
何か足りないちーちゃんに縋る事でしか、足りない何かを補えないナッちゃんとの対比の悲哀が心にグサっと来るのである。
ナッちゃんの不幸はちーちゃんという唯一のコンプレックスを感じない自分よりも下と思う友達こそが自分の浅ましさをまざまざと見せつけられる鏡である事であろう。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!