可哀想な君は僕だけの甘やかな傷
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可哀想な君は僕だけの甘やかな傷

千野ち

フォークに溺愛されるケーキ

ネタバレ
2023年4月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ フォークの葵×ケーキの密里のお話で、表題作のみ全5話+描き下ろしで合計188ページ。フォークの葵が匂いに誘われてケーキの密里と出会い、そのまま密里が所属する料理同好会に入ることになるお話です。ケーキバースの基本は捕食/被食の関係なので少なからずカニバリズム要素があるんだと思います。その中で体液などを舐める程度でどの程度お腹が満たされるのか、カニバ要素をグロくならない程度に残しつつ、どれくらいストーリーを甘く仕上げることができるか、というのが重要なところだと思うんですが、本作品は捕食/被食要素を残しつつ良い感じに甘噛みに着地されてます。私は結構オメガバが好きなんですが、ケーキの匂いに惑わされて理性を失いかけるのはヒートにやられるオメガバと類似しているので取っ付きやすいかも。でもケーキ自身がその自覚がないというのは厄介だな〜。逆にフォークもαと違って肉体的な優位性がないので見た目で分からないし、フォークであることは犯罪予備軍と見なされるなど良いことではないんですね。そんな中でフォークの葵が一生懸命理性に抗おうとしてくれてるのは胸にくるものがありました。αがうなじ噛むのを我慢して自分の腕を噛むのにギュンギュンくる人は、ケーキを食べまいと我慢するフォークにもギュンギュンくると思います。優しいフォークと寂しがりなケーキ。二人が甘く寄り添える結果となって、読後感もとても良かったです。
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