Re:dial
」のレビュー

Re:dial

二一/伊藤モネ

早世した恋人〚路也〛が二人を引き合わせた

ネタバレ
2023年4月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 自分の身になって想像しても分かるが、理由があって恋人と別れた場合は、多少年月がかかっても次の恋にも生きていくことにも前向きになれる。しかし、恋人を不慮の事故などで失ってしまった場合は、衝撃の大きさは計り知れず、生きる意味を見つけることが最早できない。
〖榛名寿郎〗はそれでも、恋人の遺志を継ぐかのように、高齢者の見守りを兼ねての【宅配弁当店】を経営して、どうにか生きがいを見いだそうとしている。そして、遺体の見つかっていない恋人の電話番号を携帯電話に残したままにしている。黙って、10年も音信不通になる恋人ではなかったのを知っていても、一縷の望みを捨てるのは、恋人への裏切りのように感じてしまうのだろう。
ところが、10年目の恋人が行方知れずになった同じ日に、時が新たな日々を刻み始める。夢うつつに、恋人にかけた電話を〖秦眞澄〗がとって、〖榛名寿郎〗はそれを夢の中のことと思っていたら、現実だったことがわかり、恋人〚路也〛の電話番号にリ・ダイアルすることから物語が始まる。
〖秦眞澄〗は美丈夫で人当たりもよく老若男女に好かれる人だが、過去につらい経験をして、死の淵にいたところを、〚路也〛宛にかけた〖榛名寿郎〗の電話を偶々とったことで、生死のはざまから生きる方へと歩みだす。
〖榛名寿郎〗が様々な思いを抱え、逡巡しながらも、〖秦眞澄〗と共に生きることを決めるまでの道のりが、描かれている。
いいねしたユーザ2人
レビューをシェアしよう!