ネガ
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ネガ

はらだ

指の先までジンジン痺れる愛と憎

ネタバレ
2023年4月6日
このレビューはネタバレを含みます▼ ピアスホール、リスタート、わたしたちはバイプレイヤー。どのお話も好きですが、後悔の海・スイメンカがいちばん好みです。特にスイメンカの方は、短い話でありながらも長い時間をかけて何度も舐めるように読んでいます。笑

はらだ先生の持ち味は、巧みなキャラクターの表情の描き方だと思っています。たとえばスイメンカの以下のワンシーンで。
「(昔ふられたみたいに)キモイって言われるかもしれない」
そう呟いて受けは力なく笑い、攻めはその言葉を前に唇を噛みしめて俯くのですが、この何気ない会話の流れに、表情に、言葉にはしがたい2人の微妙な関係性が如実に表れており、毎回読むたびにため息をついてしまいます。
このふたつの短編に限らず、はらだ先生の絵には読者の琴線を揺さぶるほどの説得力が宿っているのだとネガを読むたびに思い知らされます。

もちろんのこと、はらだ先生ならではの赤裸々Hシーンも大大大好き。特にスイメンカの初Hシーンでは、受けくんの挙動がなにからなにまでかわいすぎて拝みたくなるほどです。ピアスホールに登場する臼井さんは掴みどころのない大人のエロティシズムを発揮するのですが、受けくんは対象的に未成年ならではの青臭さと色っぽさが存分に醸されています。たまらない…。
緊張に力んで涙する受けを攻めが優しくキスして抱くのも好きです。そのぶん後々行われる寒風吹き曝しねじ伏せ屋外プレイは温度の落差があまりにえぐい、つらいとなるけれど。
でも何度も見返してしまう。容赦なく何度も抉られる。

ボタン掛け違いエンド、ハッピーともバッドとも言い難いエンドが性癖な方にも、そしてはらだ先生の痛グロ系BLを読んでみたいけどあまりに過激なものは苦手だ…という方にも、入門書として(?)おすすめできます。というか全国のBL愛読者さんたちに届いてほしい、この漫画は。そんな気持ちを込めて。大好きです。
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