このレビューはネタバレを含みます▼
大学1年生の夜巻はアパートの隣に住む三星翔と知り合います。同じ大学•同じ学年の三星が夜、街中で倒れているのを発見した夜巻に三星は「君には僕が見えるんですか?」と尋ね、「救急車は呼ばないで」と言って眠り込んでしまいます。夜巻は仕方なく三星を背負って帰り寝かせます。目覚めた三星は泣きながらお礼を言い、例えるならラスボス戦で戦う自分を夜巻の思いか助けてくれたのだと言います。見かける時はいつも走っている三星の部屋を覗いてみると、その身体は風船みたいに軽くて身体の一部が消えかけているのでした。三星は本当に何かと戦っているらしく、夜巻の部屋で夜巻の作ったカレーを食べ、夜巻のベッドで眠るとHPを回復してまた飛び出して行きます。見るからに真面目な三星が一生懸命に何と戦っているのか、なぜ夜巻にだけ色々見えるのか、わからないままに夜巻は三星をできる限り支えようと決めるのでした。誰かの危機を誰かが守ってくれている、そのバトンがまた次の誰かに渡されてゆく、RPGの世界観をベースとしたお話は、ケータイに流れる謎のメッセージ、発信者も履歴も残らないコール、ラベルの無いゲームソフトなどをキーにして進んでゆきます。空気に乗れないと置いてきぼりになる危険がありますが、エロ無しでBLの萌えだけを抽出した、しんとした夜の空気を纏ったファンタジーです。