このレビューはネタバレを含みます▼
デパート勤務の竹原は、満員電車内で脱げてしまった靴を知らない男に投げてもらいます。靴は踏み潰されてダメになったものの、投げてくれた男がタイプで「今朝見たTVの占いが1位だったからかな」なんて機嫌良く出勤します。代わりの靴を買いに勤務先のデパート内のブティックに行くと、今日から新しく配属になった雨宮を紹介されます。その雨宮が今朝靴を投げてくれた男で、さらに今でも夢にみるかつて付き合っていた相手だったのです。ほぼ20年ぶりに会う雨宮は、過去を黒歴史として竹原を突き放します。おじさん同士の20年ぶりの再会愛は、過去の事実はそのままに想いだけを上書きしてゆきます。大人の恋の底に高校時代そのままの一途な恋心がチラ見えしてなんとも可愛いのでした。『愚か者のあやまち』高校時代にレ◯プ被害に遭った千木良の元に、毎日のように好きだと綴った手紙が届くようになります。千木良は警察に届けを出しますが、実はその事件は千木良にとって快感そのもので、今だにその記憶に興奮するのでした。千木良を含めて3人の主要人物それぞれがくるりくるりと色んな面を見せるちょっとミステリ−仕立ての変わった持ち味の作品です。3人とも愚かと言えば愚かかもでした。