わるい子の愛しかた【電子単行本版/限定特典まんが付き】
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わるい子の愛しかた【電子単行本版/限定特典まんが付き】

斧原ヨーコ

素直な子を磨り潰さないで

ネタバレ
2023年4月13日
このレビューはネタバレを含みます▼ 気づいたらノンケでウリしてる晴愛にハマってた秋人×母の借金返済の為にノンケながらウリ(本番NG)しつつ夢を抱く晴愛(せいあ)のお話です。

これは…これはなぁ………晴愛、本当にピュアすぎて…兎に角「夢を実現したい。でも母の借金を返さなきゃ、でも本番はやりたくない、でも借金…夢…夢を実現させたい、でも母の借金…金、お金が必要だ」という地獄のループで、ジリジリとノンケである晴愛を「本番」に突き落とそうとする構図が…凄くて。晴愛は元からアパレル系ショップで店員(アルバイト)をやってて、地道に地道に稼いでたけど親の借金、しかも「親戚の借金肩代わりしちゃって…え?だめ?じゃあ…闇金に手を出そうかな(ボソッ)」というホンマにどうしようもない母からの金の催促で、金が兎に角ドサッと欲しいという、背中から嫌な汗が伝うような緊張感の中で多分、働き口を探して試して探して探した結果が、箱ヘル→フリーのウリだったんだろうね…

そんな中、たまたま引っ掛かけた秋人だけが晴愛を心から心配してくれたことで、愛されることの嬉しさ苦しさ煩わしさを実感できてよかったね〜〜!夢、どこまで叶えられるかわかんないけど、頑張ってね!と応援したくなるんだけど…エリアマネージャーだけあって秋人が本当に正論ばかりで。夢に現だけじゃなくで、チクチク現実を挟み込んでくれるので正直、恋結ばれてハッピーなハズが読み終わった後のハッピーさはありません。寧ろ、ここからだぞ、という本来晴愛が感じるハズの緊張感や不安、そして秋人が晴愛に感じている「愛してる。が、いつまでこの幸せを共有できるのか」「晴愛が母の無体でまたウリ等、危ない仕事をしてしまうのではないか」という尽きない不安を私も味わってる気持ちになった…凄いよ、コレは…

本当に、俺たちの戦いは始まったばかり!なENDですが…あまりにも、あまりにも晴愛がピュアで、そしてその晴愛の行く末を冷静に見守りつつ、彼のパパであり保護者であり恋人になった秋人の苦労苦悩がとても光る1冊です。凄い、としか言いようがないし「この…読了後の、心がムズムズするような気持ちを誰か言葉に現してくれ…」と思いました。

晴愛は、ピュアで居て欲しいが…ピュアのままで居ないでくれ、でもピュアのままじゃ生きられない。良い大人になって、秋人にちゃんと恩返ししてくれよ晴愛…頼むから…(たまたま出くわした近所のオバチャンより)
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