カラーレシピ
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カラーレシピ

はらだ

サイコパスな上巻、人間らしい?下巻

ネタバレ
2023年4月19日
このレビューはネタバレを含みます▼ 上巻はにっこり笑顔の反面裏ではとんでもない下策を用いて笑吉くんの心を掴み、下巻ではその行為諸々すべてがばれてしまった福介が無理やりにでも笑吉くんの心を取り戻そうとする流れとなっています。私は「相手が自分の思い通りになるのがたまらない」のではなく「相手が自分の思い通りになるのはたまらないけれど、心の奥底で罪悪感が時折顔を覗かせる」人間の心情が性癖なので、カラーレシピの下巻のほうがかなり刺さりました。本当に、りくくんの言う通りふつうに接していればまじめで優しい笑吉くんは振り向くのにねえ。でもできない。「よっぽど自分に自信がないんですね」ととりくくんは言っていましたが、読者の自分は「よっぽど笑吉くんのことを信じてあげられないんだね」と心のなかで呟いてしまい、虚しさが募りました。

ああでもよかった、いじめたおした笑吉くんの涙が、あのときの涙と違うと気づくことができて。「かわいそうだ」と一歩引くことができて。拘束した笑吉くんの前で「たたない…」と呟く福介は罪悪感にまみれた情けない顔をしていてたまらなかったなぁ。
今後も彼は笑吉くんを手に入れるがために再び水面下で手引きするのでしょう。でも根底には「傷つけて勝ち取った愛は愛とみなすことができない」という気持ちがあるのですし、えげつない乱暴を彼に働くことはないだろう、と思います。…しないでね!?苦笑

物語のラスト。自分の足で福介の店に向かった笑吉くんは、確かに彼の色に染まりつつあるのかもしれない…。でも彼は、福介が覆い隠していしまいたかった真実を知っている。痛みの伴う性行為を強要したことも。それでも自分の足で会いに行こうとするのですから、多少彼が狂っていることも理解したうえでそれでも福介と一緒にいたい、そんな覚悟もまた、背負っているのだと思います。

エロに関して言うとちょっと物足りなさがありました。というよりは、笑吉くんと福介くんが甘々にエッチするシーンをたくさん見たかった!笑 なにしろじたばた暴れる笑吉くんをやさしーくなだめすかして、絆すように囁いて、ベッドにまで持ち込む福介のSEXスタイルが大好きなのです。一読者、ふたりのイチャコラを渇望…!初エッチシーンや一祝くんにバレちゃったキスシーンはとてもエロかったです( *´艸`)
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