野アザミの恋
」のレビュー

野アザミの恋

きゆひこ

マーマレードの苦味の後にバニラの甘さ

ネタバレ
2023年4月22日
このレビューはネタバレを含みます▼ きゆひこ先生の優しい絵のタッチとは裏腹の、胸がギュッとするようなストーリー展開にハマっている。
中学時代の同級生、本谷とサクが再会するお話なのだが、サクは売り専として働いているようで、それだけでも先を読むのが怖い…。
サクは住む場所が無いので本谷の部屋に転がり込むのだが、コミュ症の本谷の独りの世界にサクの生活音が加わっていく様子は淡々とした日常ではあるが、2人にとっては幸せそうで読んでいて微笑ましかった。
生い立ちが辛いサクがまた健気で泣けてくる。本谷との幸せな生活を享受しつつも、体を売りに向かわなくてはいけないという切なさ。途中どうなるかとヒヤヒヤしたが、本谷、よくやった!離したくないと諦めない姿が良かった。これからも2人で何気ない日常を一緒に過ごして欲しい。帰る家があるっていいな。
きゆひこ先生の未来が感じられるハッピーエンドは始めて読んだが、とても良かった。
それにしても本谷が家庭的すぎる。夏みかんにバニラを加えたマーマレード、どんな味だろう。
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