このレビューはネタバレを含みます▼
『赤くて甘い』『青くて苦い』に続くホストシリーズ第3作は、『青くて苦い』に登場したオーナー•邑の現役ホスト時代のお話で、時系列的には一番昔になります。なので前2作を読んでいなくても問題はありません。歌舞伎町No.1ホストである天王寺邑を中心に、邑に惚れ込んで黒服となった桜島弥勒、邑に貢ぐ女、さらに邑の母親と、かなりドロドロとした人間関係が300頁近いボリュームでみっちりと描かれます。邑に一途な弥勒は邑の側にいることでお金がものを言う世界のヒエラルキーと、大金に纏わりつく様々な形の欲望を間近に見せられます。そこに情を介入させないことが鉄則であるけれど、お金では割り切れない心の柔らかい部分を、邑は弥勒に見せるようになります。搾取し搾取される厳しい世界に生きる男たちの物語は読み応え十分な力作です。