銀の雫の降る都
」のレビュー

銀の雫の降る都

かわい有美子/葛西リカコ

青藍の海と白銀色の城郭と純愛と

ネタバレ
2023年4月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ 葛西リカコ先生の挿絵を見た瞬間、驚愕しました。こんなにも美しく繊細な挿絵を見たことがなかったからです。小説を読んで、物語と挿絵が織りなす世界観に静謐な思いで浸ることができました。
十年もの間ひたすらに人を思い慕い、その果てに絆された思い人からの愛に静かに喜ぶものの、二人に残された時間は残り少なくなっていたのです。
余りにも短い甘いひと時の思い出の日々の中で、死した後再びクローンとして甦ることを決めたカレルの死と再生がこの物語の最終章になっています。
カレルは少年期のユーリスに教養と物質的な安定を与え、ユーリスは自らの素養で肉体的にも精神的にも安定した青年期を迎えます。
闘技会で優勝したユーリスが優勝賞金でカレルに贈ったネトレアの海の色のアレキサンドライトの美麗な指輪。
白い馬にカレルを乗せて行った城下の市場で手に入れた瑠璃色の小鳥と白銀色の鳥籠。
私にとって、この小説は、珠玉の作品になりました。
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