孤独な煌帝の幸せの金糸雀
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孤独な煌帝の幸せの金糸雀

貫井ひつじ/hagi

鳥籠の鳥だった攻めが受けに救われる話

ネタバレ
2023年4月25日
このレビューはネタバレを含みます▼ とても面白かった。涙が宝石になる一族「涙精族」の受けと、皇帝の攻め。人買いの襲撃を受け後宮のお姫様に「愛玩動物」として飼われていた受けがなんとか脱走したら攻めに拾われる話。誰にもバレずに後宮の外に出るために、大勢の出入りがある祭りの日まで身分の低い姫として後宮の端っこで暮らすことになる。行き当たりばったりで脱走したりするけど、追われる流浪の民として生きてきた分達観していたり人間観察に長けているところがあって受けのキャラクターが良かった。後宮で過ごすうちの後宮のおぞましい実情が見えてきて、その中で一人孤独に生きていこうとする攻めが悲しい。受けが後宮を出ていく前の最後の夜の二人の会話がめちゃくちゃ良い。攻めが受けにした頼み事が健気すぎて泣ける。切なくて悲しい。受けが攻めにあげた特別な涙の宝石を「これだけはとらないでくれ」と意識が朦朧としながらも握りしめ続けたシーンも泣ける。
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