どうしても触れたくない
」のレビュー

どうしても触れたくない

ヨネダコウ

どうしても触れたくない (ネタバレあり)

ネタバレ
2013年1月28日
このレビューはネタバレを含みます▼ 同性愛者であるが故に辛い過去を持つ、嶋。
そんな嶋を情で包み込もうとする外川。
けれど、外川にも辛い過去があった。
自分自身の過去からの恐怖と、
外川の過去に対する自分の存在への躊躇。

ボーイズラブで考え得る大きい障害である、
偏見と、家族や子供の問題。
嶋と外川、二人の持つ過去の内容が
それぞれの問題に関することであり、
傷心の嶋を外川が受け入れ癒やす。
正直題材としては王道だと思います。

しかし、あくまで題材は題材。
ストーリー全体の繊細な描写、
キャラクターのちょっとした表情の変化や
速すぎず遅すぎずちょうどよいテンポ。
どれをとっても、素晴らしい作です。
何度でも読み返したくなる、
味のある作品です。

どなたかのレビューで、
タイトルの意味あいについて
触れられているのを拝見しました。
嶋が過去の恋人との関係での恐怖や、
外川の家族に関する過去や
家族対する憧れに対する葛藤。
それを表したものが、この
「どうしても触れたくない」
というタイトルだと、私は感じました。

☆4にしたのは、キャラクターの性格上
仕方ないのですが、もう少し嶋が
能動的に過去と決別できると
良かったかと思ったので。
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