ひとつしかないもの
」のレビュー

ひとつしかないもの

櫻井ナナコ/佐々木みお

自分を傷つける

ネタバレ
2023年4月26日
このレビューはネタバレを含みます▼ 双子なのにお兄ちゃんとして弟の面倒をみることを期待され、周囲からは比較され、避けても寄ってくる弟が嫌いな晴陽。そんな自分も嫌い。弟も周囲も疎ましく自分を受け入れられず、弟を嫌いな自分を嫌い、弟の名を語り自ら傷つく行為を繰り返す。その痛みなんかわかるなぁ。自己肯定感が低いと自傷行為とわかりながら繰り返してしまう…全然すっきりしないのに。
そんなとき二丁目で出会った年上リーマン正博は、他の人と違い身体を求めず友だちになろうと言う。正博が明るく穏やかに包むなか、自分をまだ受け入れられず危ない相手とセック スし物理的にも傷ついたところ、正博に手当される。ゆっくりと温め心の穏やかさを取り戻すと、以前と違う目で周囲を見られるようになる。そして気がつく恋心。自分を受け入れたからこそ、他者を好きになれた。辛抱強く待ち続けた正博が、晴陽と両思いになれて初めて雄をむき出しにする。ギャップがなかなかよい。いい人だな、正博。誠実だし、優しい。晴陽は正博に出会えてホントよかった。そして増していく正博の独占欲(笑)あれぐらいでいいと思う。
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