それじゃあこれから何をする?
」のレビュー

それじゃあこれから何をする?

木山はる

解釈違い

ネタバレ
2023年5月1日
このレビューはネタバレを含みます▼ 長年募らせていた兄への恋心や、家族との確執がある状態での結婚式、本当に行く必要あります?「綺麗な物語」を作るためにはそういう展開が王道かもしれません。でも正直私はあの段階で「結婚式へは行ったほうが良い」なんて言える人は、本当に傷付いて立ち止まってしまってどうしようもない人の気持ちなんて全く分からない人の発言だとしか思えませんでした。
逃げる事は間違いではないです。逃げる事で自分の心を守る事は正解なんです。何故ならば、この話のアキくんは「兄を好きな事」が倫理的にも駄目な事だと自分できちんと自覚しているから。でも、人の想いに間違いは無いんです。例えそれが倫理観や法律的に間違っていたとしても、その人の心の中で起こっている出来事に制限をかけてはいけないんです。アキくんが「兄を好き」である事実と、そうなった経緯には彼の大事な人生のある意味の答えなんです。
ここで問題なのは兄への恋心なのではなく、兄以外の家族のアキくんへの態度です。むしろ昇華すべきポイントはそちらであり、そちらが解決していればアキくんは長い年月を経て自分で兄への想いを断ち切れたのではないかとまで思いました。
それくらい主人公の大津は大した行動をしていません。
結局、アキくんが結婚式に行って吹っ切れた体で話が進んでいきますが、正直読んでいる方はとてもそうは思えないし、山場の出来事が終わった途端いきなり大津を好きになったと言われても、全く説得力が無く「一体なんで?」となりました。
血の繋がった兄への恋心って、相当なもんですよ。余程の心象を叩きつけないと邂逅はしないと思います。それを結婚式に行けと助言しただけで大津を好きになるなんて、簡単すぎるでしょう。
冒頭だけ読んだら凄く面白そうだったんですが、大津がただの調子の良い雰囲気イケメンでしか無く、ガッカリしました。
大津が動かしにくかったからかもしれませんが、友人キャラが出張りすぎなのも気になりました。メインの2人を中心に話は展開すべきです。当人達自らが気付き、行動した結果こそが大事なのであって、他者で話が進むのは最善とは思えません。2話か3話辺りで既に迷走していたのかなと思いました。
あと、背景の描き込みも冒頭以降は一気に無くなり、状況把握が難しい箇所も多々みられました。場面転換した時などは必ず背景を描いて絵で立ち位置説明する事は必須かと思います。
いいねしたユーザ5人
レビューをシェアしよう!