ロスタイムに餞を
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ロスタイムに餞を

ココミ

わかる…!が詰まってる

ネタバレ
2023年5月2日
このレビューはネタバレを含みます▼ 飄々と淡々と奔放にしているようで、実はより寄りかかっていたのは桐生の方だったのかもしれないですね。
些細なことの積み重ねはいずれ大きくなって、その最初のきっかけは見失うほど小さなものだとしても躓くきっかけには充分なり得る。振り回される周りからしたら「またか」なことでも、当人らからしたら一歩が重く踏み出せない。飲み込む方がその場は楽だとしても消化されずに溜まったものはいずれ吐き出すしかない。ただ一度、素直になれれば済むことも積もり積もったもの、溜まりに溜まったもの、「言わなくても伝わるはず」「これくらいわかるはず」の謎の「きっと以心伝心してるはず」病にかかって、いつの間にかの意地の張り合いも、気が付いた時にはすでにロスタイム終了間近。
そんな、どこにでもあるような「わかる…!」が詰まった作品でした。
痛みに、孤独に、先に耐えきれなくなった桐生の素直にあろうとする姿に胸を打たれましたし、何度も何度も自分に言い聞かせて納得させようとしながら、しがみついてしまおうとする尽にもまた涙が出ました。
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