簡易的パーバートロマンス
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簡易的パーバートロマンス

赤原ねぐ/瀬森菜々子

破れ鍋に綴じ蓋

ネタバレ
2023年5月15日
このレビューはネタバレを含みます▼ 不憫イケメン攻め×ヤンキー受けです。
ただ受けはヤンキー受け作品と売り言葉用に設定されたようなヤンキー受けではありません。キャラの作りが細かいんですよね。ヤンキー受けという腐女子が食いつくような言葉で一括りにするにはすごく複雑というか緻密。

・クラスで浮いてるけど別にそれに対して悲観的な思想を抱くわけでもなくただ自身のフェチズムに正直に生きているだけ。奔放でヤンキーと言えばヤンキーだけどトゲトゲとした雰囲気やささくれだった印象は無いです。自由にしてたらこうなったって感じで人付き合いに関して諦念モード入ってる受けに対し攻めは世話焼き常識人で奔放な攻めの奇天烈さに振り回されつつ流されない自我もちゃんと持ってる。

……と、価値観的に対極の位置にいるような二人が究極の面食い(攻め)、ドM(受け)というフェチズムを通じて繋がるというのが面白いし、欲求を満たすためだけの関係が次第に熱を帯びていくのがドキドキするし好きだから歩み寄ろうとする互いの姿勢が温かくていいですね。
こんな不安定で危うい受けの相手が半人前(半人前)の攻めなら……と思うと受けの身を心配してヒヤッとしますが理性が揺らぐことはあれど根っこの部分がしっかりしててブレないストッパー的攻めだから安心して見れるし萌える。破れ鍋に綴じ蓋というか、本当にこの受けの攻めが君で本当に良かったと心から推せるCPです。

性癖要素のあるちょっとアブノーマルなBL漫画だって抵抗持つ方も居ると思いますがこれに関しては性癖という設定に依存しているというよりも“そういった性的嗜好を持った個人”の恋愛を見ているって感覚で読み進められるストーリーなので身構えず読んで見てほしいですね。そこに愛はあります。
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