とても文章では書き表せない表現力





2023年5月23日
人物の描写が素晴らしく、購入以降何度も読み返している大好きな作品です。
幼い頃から「神」という曖昧な存在に何度も裏切られてきたリブは恐らく精神を病んでおり、非常に依存的な性格をしています。顔色も悪く痩せ細って、飢餓状態の人間によく見られるように目がギラギラとしていますが、恐らく根は優しく争いを好まない性格なのだろうな、というのが表現から伝わってくるのが素晴らしいです。
そしてそんな彼を憐れみ、慈しみ、共に地獄に落ちるのではなく共に生きていくために手を差し伸べる神父のロースは、冒頭、清廉潔白で常識のある人間として描かれており、周囲も彼を慕っています。ロースはリブを取り巻く異様な環境に、人間らしく怯えや戸惑いを感じますが、非常に冷静です。その場での最適解とも言える言動を取ることで自分の身を守ると共に、異様で緊張が張り詰める閉鎖的な空間の中でリブの心の傷に手を当て、寄り添います。
ロースとリブがそれぞれお互いに向ける感情の移り変わりが、信頼と信仰の違いが、共に生きることが、鮮やかに穏やかに描かれた作品です。今後もずっと読み続けると思います。
幼い頃から「神」という曖昧な存在に何度も裏切られてきたリブは恐らく精神を病んでおり、非常に依存的な性格をしています。顔色も悪く痩せ細って、飢餓状態の人間によく見られるように目がギラギラとしていますが、恐らく根は優しく争いを好まない性格なのだろうな、というのが表現から伝わってくるのが素晴らしいです。
そしてそんな彼を憐れみ、慈しみ、共に地獄に落ちるのではなく共に生きていくために手を差し伸べる神父のロースは、冒頭、清廉潔白で常識のある人間として描かれており、周囲も彼を慕っています。ロースはリブを取り巻く異様な環境に、人間らしく怯えや戸惑いを感じますが、非常に冷静です。その場での最適解とも言える言動を取ることで自分の身を守ると共に、異様で緊張が張り詰める閉鎖的な空間の中でリブの心の傷に手を当て、寄り添います。
ロースとリブがそれぞれお互いに向ける感情の移り変わりが、信頼と信仰の違いが、共に生きることが、鮮やかに穏やかに描かれた作品です。今後もずっと読み続けると思います。

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