その世のどこか、蒼天のゆりかご【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】
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その世のどこか、蒼天のゆりかご【ペーパー付】【電子限定ペーパー付】

鯛野ニッケ

ある種、究極に深く重い愛

ネタバレ
2023年5月30日
このレビューはネタバレを含みます▼ 唯一絶対の主従としてこれ以上ないほどの近さにいるからこそ生まれるリアの愛と苦しみ。主従であるがゆえ超えてはいけない想い。だけど狂おしいほどの募る気持ちを持て余し、許されない、叶えられぬのならばいっそ…と生まれてしまう別の願望。そしてまたその想いに自ら苦しみ葛藤し恐怖し、別離を選択してしまうリアの姿は堪りませんでした。
シンもまた自らの一部と言っていいほどのリアを失うかもしれないという境地まで追い込まれて初めてハッキリとした輪郭で気がつく自らとリアの気持ち。自らの気持ちよりも優先してリアのことを考えていく姿がシンという人の深さを物語っている気がしました。
シンは軽く奔放なようでいて誰よりも愛情深く優しく魅力に溢れ、生まれる前から一番近くで見守るリアにとってシンに対する気持ちはそれ以外にありようがないほど当たり前のような気がします。
「死が2人を分つまで」というのはきっとこの2人のようなことをいうのだろうなと、終盤はそんな気持ちで見守らせていただきました。
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