シャングリラの鳥
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シャングリラの鳥

座裏屋蘭丸

後世に語り継がれるべき極上の作品

2023年6月4日
そこのアナタ、もしかして「ノンケ×男娼か~よくある設定よね~」とか思ってませんか…?それ、めちゃくちゃもったいない!●座裏屋先生の作品は全て読ませていただいておりまして、どれも大好きなのですが、これは間違いなく極上の一作。1人でも多くの方にこの作品を読んでほしいという一心から、こちらのレビューを書かせていただきます。●舞台は南国の島に佇む高級娼館「シャングリラ」。緑豊かな庭を抜けると、迎えてくれる美しい男娼たち。オーナーと男娼たちに認められた客だけが出入りを許される、そこはまさに夢の楽園。その秘密は謎の役職「試情夫」にあるようで…●試情夫とは、仕事前に男娼たちの心身をほぐす疑似愛人、平たく言えば「当て馬」のこと。このシステム考えた先生天才すぎませんか?●オーナーに試情夫として働かないかと誘われ、このシャングリラにやって来た男、アポロは何だか訳アリの様子。手っ取り早く稼ぐ必要があるとのことで、この仕事引き受けるのでした。ノンケの彼が仕事に慣れるまで、まずは1人の男娼の専属試情夫として働くことに。鍛え上げられた肉体に寡黙な佇まい、そしてどこか影のある彼の登場に、どうやら男娼たちは興味津々で…●このアポロが専属で付くことになったのが、1巻の表紙を飾るフィー。この魅惑的なポーズに釘付けになった方も多いのでは?悪戯っぽい微笑みと艶やかな眼差しで、客のみならず私たちをも虜にしていきます。明るく奔放な性格かと思いきや、ふとした瞬間に大人びた表情を見せることも。次第に明かされていく、彼の過去とは…?●夕陽に染まるフィーの滑らかな肌、夜の闇にきらめくアポロの真っ直ぐな瞳。まるで洋画を見ているかのような圧倒的画力は、潮風の匂いまで漂ってくるほどのリアルさと神秘の芸術性を兼ね備えています。画力、コマ割り、言葉選びのセンス、ストーリー展開…全てにおいて完璧すぎて、最新巻が出る度に次が待ち遠しくなる、切ないこの思い…●そもそもシャングリラ(Shangri-La)とは、ある小説に登場した理想郷の名前。客にとって、そして男娼にとっても理想郷であるシャングリラですが、男娼と試情夫の間に設けられた「3つのルール」が気になるところです…特に最後の「絶対に恋に堕ちないこと」。この「絶対に」って何?フラグじゃん…!破ったら楽園追放とのことなのですが…ツラい…これ以上は語りませんので、皆さん、とにかく読んでください!!
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