レビュー
今月(4月1日~4月30日)
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シーモア島


投稿レビュー
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男も女も関係ない、人としての強い絆。2023年11月18日●ただの男女逆転モノだと思って読んでいない方、めちゃくちゃ勿体ないです!●江戸時代の日本。男性のみに感染する謎の疫病「赤面疱瘡」が蔓延し、男性の数が激減してしまった結果、男女の立場が逆転。女性が将軍を務めることになった世界で、美男たちを集めた女人禁制の大奥に渦巻く陰謀を描いている。大河ドラマレベルの壮大なスケールで繰り広げられる人間ドラマに、大きく感情を揺さぶられること間違いなし!●物語としての完成度もさることながら、特筆すべきは絵の美しさ。大奥に生きる様々な美男たちの容姿も、身にまとう衣装も、何もかもが綺麗で華やかで、どこか切ない。よしながふみさんの描く男性は、どこか憂いを帯びたような色気があります…●そして、このお話の大きな魅力は重厚な人間ドラマ。男女の愛というよりも、人と人とが出会い、支え合い、時にぶつかり合いながらも強い絆を築いていく様子が素晴らしいです。登場人物の言葉や表情に、何度も泣かされました…●奇抜な設定に抵抗を感じて読むのをためらっている方も、騙されたと思って一度読んでみてください…必ずハマります!
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あえて正直に言わせてください!!2023年8月16日韓国BL大好き勢として、あえてワガママを言わせていただきます。ご了承ください。
●一家が没落して奴隷に堕とされた強気美人の復讐劇、という題材は素晴らしいと思います。画力も文句なしに高い。ただ、見切り発車的な連載というか、ストーリー構成にもったいない部分が多いです。
●最初はすごく良かった!強気美人の受けがあの手この手で親の仇である攻めに近づこうとする過程はスリリングで、主人公の屈辱感とやるせなさ、それを超える憎しみが伝わってきました。だから期待しすぎてしまったというのもあるのかな。攻めの懐に潜り込んだ途端、物語が失速気味になったような気がします。最初の強かで美しい受けを返してくれ…
●夜画帳の二番煎じ感も否めないのですが、その原因としては
①絵柄が似ている
②同じく時代劇
③横暴な攻めに不憫な美人受けが振り回される展開
という3点が考えられます。
●レジコミ・beltoon界隈は週刊連載も多いので、これほど高いクオリティの絵で描き続けるのは大変な仕事だと思います。こんな意見の後に言うのは変かもしれませんが、作者様、どうかお身体に気をつけてください。今後の展開に期待しております。 -
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フェロモン症防御薬…私にもください…!2023年6月5日BLを読む時はストーリーを重視する私ですが、「話の流れは好きなんだけどHシーンが少なすぎる…ッ!」という感情に陥ることがよくあります。そんな私の欲望が、初めて完璧に満たされました…●このシリーズは以前から存じ上げていたのですが、オメガバース等のファンタジー設定が苦手だった私は、フェロモン症という題材にイマイチ惹かれず…でもレビューも高評価だし、エンゾウ先生の絵もめちゃくちゃ好みだしな〜とりあえず1巻だけ買ってみるか!と決意。オムニバス形式の前作は未読だったのでちょっと不安でしたが、怒涛の勢いで読み終わり、気づいたら2の上巻・下巻もポチってました。絵から絶対フェロモン出てますよ、この本。1巻買ったら終わりです…全部買うことになります。●フェロモン症について簡単に説明すると、過剰に性フェロモンを撒き散らしてしまう病気なんですね。オメガバースで言うヒートと何が違うの?と感じる方もいらっしゃると思うのですが、フェロモン症は「患者に対して好意を持っている人間」の性的興奮を誘発するとのことで、周りにいる全員が発情しちゃうという訳ではないみたい。この設定が後々効いてくるんですよ…ストーリー展開の面白さに脱帽。●戌井×辰見のカップル、第一印象としては辰見が攻めっぽく見えるかもしれないんですけど、チャラそうな見た目に騙されることなかれ。この子、中身はめっちゃ乙女なんです…!強そうに見えて実は快楽に弱くてちょっと流されやすい感じ、いい受けだわ…としみじみ思います。そして戌井の攻めとしてのポテンシャルの高さが凄まじい。執着攻めの粘着質な怖さと愛の深さがいい具合にバランス取れてるんですよね。普段は猫背と伸びた前髪のせいで野暮ったい感じなのに、実は隠れイケメンだし…最高かよ。スイッチ入った時の目力とか、もうヤバい(語彙力)…そんなオス顔どこに隠してたの?反則です。●最後に一言。エンゾウ先生、なんでそんなにいろんなアングルで描くのが上手いんですか!?
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後世に語り継がれるべき極上の作品2023年6月4日そこのアナタ、もしかして「ノンケ×男娼か~よくある設定よね~」とか思ってませんか…?それ、めちゃくちゃもったいない!●座裏屋先生の作品は全て読ませていただいておりまして、どれも大好きなのですが、これは間違いなく極上の一作。1人でも多くの方にこの作品を読んでほしいという一心から、こちらのレビューを書かせていただきます。●舞台は南国の島に佇む高級娼館「シャングリラ」。緑豊かな庭を抜けると、迎えてくれる美しい男娼たち。オーナーと男娼たちに認められた客だけが出入りを許される、そこはまさに夢の楽園。その秘密は謎の役職「試情夫」にあるようで…●試情夫とは、仕事前に男娼たちの心身をほぐす疑似愛人、平たく言えば「当て馬」のこと。このシステム考えた先生天才すぎませんか?●オーナーに試情夫として働かないかと誘われ、このシャングリラにやって来た男、アポロは何だか訳アリの様子。手っ取り早く稼ぐ必要があるとのことで、この仕事引き受けるのでした。ノンケの彼が仕事に慣れるまで、まずは1人の男娼の専属試情夫として働くことに。鍛え上げられた肉体に寡黙な佇まい、そしてどこか影のある彼の登場に、どうやら男娼たちは興味津々で…●このアポロが専属で付くことになったのが、1巻の表紙を飾るフィー。この魅惑的なポーズに釘付けになった方も多いのでは?悪戯っぽい微笑みと艶やかな眼差しで、客のみならず私たちをも虜にしていきます。明るく奔放な性格かと思いきや、ふとした瞬間に大人びた表情を見せることも。次第に明かされていく、彼の過去とは…?●夕陽に染まるフィーの滑らかな肌、夜の闇にきらめくアポロの真っ直ぐな瞳。まるで洋画を見ているかのような圧倒的画力は、潮風の匂いまで漂ってくるほどのリアルさと神秘の芸術性を兼ね備えています。画力、コマ割り、言葉選びのセンス、ストーリー展開…全てにおいて完璧すぎて、最新巻が出る度に次が待ち遠しくなる、切ないこの思い…●そもそもシャングリラ(Shangri-La)とは、ある小説に登場した理想郷の名前。客にとって、そして男娼にとっても理想郷であるシャングリラですが、男娼と試情夫の間に設けられた「3つのルール」が気になるところです…特に最後の「絶対に恋に堕ちないこと」。この「絶対に」って何?フラグじゃん…!破ったら楽園追放とのことなのですが…ツラい…これ以上は語りませんので、皆さん、とにかく読んでください!!
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老舗の料亭で食べる料理のような味わい深さ2023年2月2日ずっと気になっていた作品でしたが、謎に包まれていた加賀谷次長の過去が明かされると知って、ついに購入しました!
結論から言うと、すごく好みのお話です。レビューの中にBLっぽいという感想をチラホラ見かけましたが、BLが苦手な方がそれを読んで購入を渋ってしまっているとしたら、すごくもったいない…!確かにBLを嗜む人間には堪らないシチュエーションはありますが、どちらかといえばヒューマン系だと思います。
学校や職場での人間関係、キャリアの重ね方、そして男女それぞれの生きづらさ…誰もが1度は経験したことのある(あるいは現在進行形で経験している)悩みを抱えた登場人物たちが、軽すぎず重すぎず、なんとも絶妙な塩梅で描かれており、思わず「え、これ私じゃん」と感じてしまうシーンも多数あるはず。
老若男女を惑わす主人公、加賀谷次長の「魔性の男」っぷりに目が行きがちですが、性別問わず幅広い世代の心を掴むこの作品自体が、まさに加賀谷次長そのもののようではありませんか…なんて思っちゃいます。
元気がない時や悩んだ時、あるいは人生の節目なんかにも、また何度も味わいたくなる、老舗の料亭の看板メニューのようなお話です。 -
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名作映画を観たような満足感2021年10月21日アーミッシュの純朴な青年テオ×夢破れたダンサーのオズのお話。オズはウエイターとして働きながら男娼もしていて、テオにとってはちょっぴり刺激的?な出会い方をするのですが、そこからお互いに惹かれあっていく過程が本当に丁寧に描かれています。何と言っても登場人物の心情表現が素晴らしい!ちょっとしたことで顔を赤らめたり、少し表情が曇ったり、そういう瞬間を切り取るのがとってもお上手だなと思いました。人を好きになるってまさにこういうことなんだよな〜と思いながら何度も読み返しています。BLというジャンルに収まりきらないほどの名作だと思いました。映画を観るような気持ちで楽しめる素敵な作品です。本当に買ってよかった…紙の本も買っちゃおうかなと思っています!
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