エマ
」のレビュー

エマ

森薫

細かい描写で当時らしさをたっぷりと感じる

2023年6月5日
絵が細密画のような詳しさでよく描き込まれている。英国の階級問題は21世紀入った頃にも消えてなかった。労働者階級の住まいはどこそことどこそこだとか、英国勤務経験者から聞いたことが有るくらい、厳然として。ある意味運命に弄ばれるところの、その世界の階級の壁というものに、努力と忍耐?で敢えて挑む話。
使用人の世界にエネルギーを感じさせ、社交界という小社会の爵位こだわりや雁字搦めの慣習・決まり事などの鬱陶しさなどを乗り越えようと、描かれているものがポジティブなところが、沢山ある。そこに生きている者達の前向きのしぶとさ。
また、この人、という相手に出会ってしまってからの成り行きを応援、見守る。
読み手の気持ちを、しっかり考慮してくれる森先生の話作り。
上流階級の様子と面倒臭さ、使用人達の明るさや固定化された職務分担など、当時の雰囲気を感じ取らせてもらいました。
二人の気持ちもよく表されていて、この時代のロマンスとしてたっぷりと楽しみました。。
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