べな
」のレビュー

べな

こふで

人になりゆく物語

ネタバレ
2023年6月5日
このレビューはネタバレを含みます▼ 見世物小屋でひとから奴隷のような扱いを受けて育った壱と獣のような扱いで忌み嫌われ生きてきたベなが、人を知り自分を知り愛を知って成長していくお話。艶やかな絵やお着物のふんだんに描かれた柄、浮世絵のような背景がこれでもかとぶつけられていてお値段以上の描き込み量。月代(ツルッパゲ部分があるということ…)のある男性のBLはどうなんだろう、と怯むも一瞬で沼へダイブですよ。壱は頭皮や性別を超えた美しさと色っぽさです。大型わんこ攻のべながショタから青年まで少しずつ成長し、時には壱を超えるくらいの包容力を発揮したりして、スパダリと健気受、みたいなパワーバランスの不等号が完全に決まっているわけでなく、癒し癒され、愛し愛され(※リバでは無い)でお互いが支えになっている唯一無二の関係が尊い。この描写が秀逸で、あと周りにいる傷付いた人の救済も、全部描ききる訳ではなく余白を残して伝えるさじ加減がまーーーーじで最高。壱の弟の二三やダンゾウさんも、きっと一瞬でも幸せだったという描写があっただけで、辛いばかりの見世物小屋時代も胸糞だけで読み終わらずに済み、むしろ雨上がりのような爽やかさすら感じるのです。4巻もそろそろかなあ。べなと壱のさらなる成熟が楽しみです。
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