自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。
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自称悪役令嬢な婚約者の観察記録。

蓮見ナツメ/しき

愛すべきバーティアの猪突猛進な優しさ

2023年6月15日
異世界転生ものだけど主人公は転生した本人ではなく、異世界の住人である王子セシルの方、という、少し捻った設定が面白かったです。あまりにも優秀で退屈していたセシルが、転生者である自称悪役令嬢バーティアの珍妙な行動を観察しつつ、徐々に感化されていく様子が微笑ましかったです。ちょいちょい悪い顔してるのも好き。
前世で見た乙女ゲームには出てこなかったという「精霊」の設定も、乙女ゲームのご都合展開には実はこんな力が働いているのかもな、というメタ視点からの説得力があって良かった。
属性をもじったネーミングばかりのパロディ的作品なので、ツッコミどころはあっても、流したりツッコミながら読んだりできるのも良かったです。チャラ男やら脳筋やらショタコンやらの、ネーミングの元ネタを見付けるの楽しかった。
脇役達もそれぞれ元気に活動していて、明るくにぎやか。
そして何と言ってもバーティアが可愛い!
ちょっとキャラ設定やりすぎなくらいおバカで、実際にいたら鬱陶しそうなところはあるんですが、行動原理が相手に対する「好意」であり、その相手の幸せのために一所懸命。前向きでひたむきでとても優しい、見習いたいなと思える、気持ちがスッキリするキャラクターでした。私も「愛でる会」に入りたい。
また、子供時代からスタートする主役二人の見た目が、いきなり成長するのではなく徐々に成長しているのがとても自然で良かったです。目立つところではありませんが、これかなり難しいと思うので、作者さんこだわって頑張ったんだな〜、と好印象です。
3巻までの、乙女ゲームのフラグに沿って(?)進んで行く部分は、テンポ良く文句なしに面白かったのですが、後半は少し説明的だったり順当に進んでしまって、漫画演出的には冗長さが出てしまったのが惜しい。
けど、ほどよい巻数で、努力や優しさを全肯定して、ふんだんにかわいいデザインのドレスが登場し、一途な恋心と軽いキスシーンまでのこの作品、安心して小学生女子にもおすすめできるステキな少女マンガだと思います。ジャンルは女性マンガですが。
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