このレビューはネタバレを含みます▼
中国時代劇ファンタジーで綿密に作り込まれた世界観に入り込むと本当に面白いのですが、長いストーリーに時系列が行きつ戻りつし、登場人物の多さに加えて一人につき呼び名が3つも4つも存在するなど初見では非常に読み辛いです。実写ドラマやアニメと読み合わせるのもありかと思います。自由奔放な天才仙士•魏無羨が死後13年を経て莫玄羽の肉体に魂が蘇るところから始まります。自らの命を捨ててまで魏無羨に恨みを果して欲しかった莫玄羽の遺恨に沿うかのように彼が怨んだ人々が次々と妖魔に襲われて亡くなってゆきます。そこに生前の魏無羨と少なからず因縁のあった藍忘機が現れて魏無羨は慌てて逃げ出しますが、結局捕まってしまい否応無く藍忘機の住む雲深不知処に連れて行かれます。見た目は莫玄羽だし魂が魏無羨だとバレてはいない筈だと魏無羨は藍忘機に嫌われようとあの手この手を繰り出すのですが、言葉少なく無表情な藍忘機は黙って魏無羨のしたいようにさせるのでした。前世で正道ではなく妖魔を操る魔道を志し世紀の大悪人とまで謗られた魏無羨と、真面目で潔癖、皆の模範と言われた藍忘機の少年期からの関わりと13年後の現在とが交互に描かれます。妖魔鬼怪や様々な仙術、群雄割拠する四大世家とその陰で蠢く人々の思惑などが生き生きと時には血生臭く時にはユーモラスに描かれます。現在の藍忘機の行動の基となった前世での二人のやりとりを見てゆくことで答え合わせできる構造になっています。4巻でクライマックスを迎えた後はハッピーなエンディングに番外編の幸せ新婚編やほのぼの少年期編が堪能できます。もちろんエロも充実です。