【全1-6セット】仮面の心を奪うのは ～黒狼陛下と噂の王女様～【イラスト付】
水上涼子/天路ゆうつづ
このレビューはネタバレを含みます▼
大筋は面白くない訳ではなくて、このストーリー展開ならTLではなく、もっと生々しい歴史物として描かれていたとしたら星５つでした。
如何せん、ヒロインが悲惨過ぎて、当初の賢い設定が途中から全くなくなります。
一目惚れしたヒーローは「彼女を愛し、絶対に守ります」と言って妃に貰いますが、そんな約束は何処へやら、その後も酷い。
とんでもない金額の持参金をせしめておいて、牢屋に閉じ込め、自分に惚れている女を傍に付けて、嫌がらせされて毒を盛られ。
その後も、安心して過ごせない生活をさせて、ヒロインを囮にして犯人を捕まえようとするのには、「どこが大切にしてるんだ？」と腹立たしくなりました。
ヒーローが、自分の本心をろくに伝えもせず、ヒロインに誤解させたまま、まるで捨て駒のように扱いながら利用し、「早く抱きたい」と獣のように体だけを欲しがるなら、似たタイプの他の人にしときなよと思いました。
こんなのは、溺愛じゃない。
ヒロインを狂気的に追い掛けるイカれた王太子も最後、何のお咎めもなく「国同士がマイナスじゃなかったんだからいーじゃん」的に許させるわ、ヒロインもあんな目に合いながら許しちゃうんだ……と思ったら、ここまで読んだのが馬鹿らしくなりました。
悪役はちゃんと罰してくれないと、読後感が悪いです。
ハッピーエンドの筈なのに、全く喜べないラストでした。
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